とにかく急ぎでスーツがほしいという方もいれば、時間がかかってもいいから良質なオーダースーツがほしいという方もいるでしょう。事情はそれぞれだと思いますが、本稿では、スーツはどのくらいでできるのかという「納期」の目安と、当日のうちに受け取れる方法について、これまで合計20着以上のスーツを購入してきた経験も踏まえながら、実態をお伝えしていきます。
スーツはどのくらいの期間でできるのか

まず結論から述べると、「既製品の場合は1週間程度」「オーダースーツの場合は1か月以上」というのが基本的なスーツの納期といっていいでしょう。
とはいえそれぞれモノによって事情は変わってくるので、以下詳しく述べていきます。
既製品の場合
まずは洋服の青山やAOKI、スーツカンパニーなどで買える、既製品のスーツの場合。店頭に並んでいるスーツの中から、自分に合うサイズを選ぶタイプですね。世の中のほとんどの人が買っているのは既製品のスーツでしょう。
出来合いの商品を買うとはいっても、最低限のサイズ調整が発生するものです。絶必なのが、パンツの裾。ここは個々人によって寸法が大きく変わってくるので、実は既製品でも裾は縫い合わされていません。布を長めに残しておいて、購入者の足の長さに合わせて縫い合わせることを前提としています。

この部分を縫い合わせるのは、カジュアルファッションの裾上げとは大きく異なります。ユニクロやリーバイスなどのデニムは、ショップスタッフがちょこっと作業すればできてしまうものですが、繊細な作業が求められるスーツの場合、工場の専門スタッフに送り、きれいに仕上げる必要があるわけです。シングルの裾でイメージしにくいなら、ダブルの裾をイメージすると、「たしかに簡単な作業ではないな」とおわかりいただけるのではないでしょうか。
ですから既製品といっても、工場に送り、工場で作業をし、店舗に送り返すという手順が発生するので、基本的には1週間程度かかるというのが慣例になっているわけです。もちろん、スーツ店や混雑具合によって多少事情は異なってきますが。
加えて、既製品でもウエストなどの多少の修正が入れられる場合があったり、あるいは股下の部分の補強を入れたりする場合もあるので、調整箇所が増えると1日や2日、納期が押す可能性はあります。
ただ逆に言うと「この程度の調整しか発生しない」ので、どのお店で買ってもだいたい似たような納期になるのが、既製品の特徴といえるかもしれませんね。
オーダースーツの場合
一方、それぞれの体型に合わせて一からスーツを作るオーダースーツの場合、事情は全くことなります。
当然、時期やお店によって異なるのですが、結論から申し上げると、パターンオーダーとイージーオーダーのお店なら1か月弱~1か月半、フルオーダーのお店ならだいたい2~3か月程度というのが平均的な納期といえるでしょう。
パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違い
そもそもオーダースーツは、価格の安い順に「パターンオーダー」「イージーオーダー」「フルオーダー」という3種類に大別されます。
最も価格がおさえられているパターンオーダーとは、もともと決まったモデル(ジャケットやパンツの形)があり、その上でサイズの基準となる「ゲージ服」の試着をして、袖やパンツの裾の丈、ジャケットの絞り具合など主要部分を調整していくものです。

イージーオーダーも基本の合わせ方はパターンオーダーと同じで、「より調整できる部分が多い」というイメージでしょうか。ジャケットのラペルや肩、パンツのテーパード具合や太さ加減など、パターンオーダーよりも細かいところまで調整がきくので、より自分好みの一着に近づけることができます。

これがフルオーダーになると、そもそもスーツの作り方自体が変わってきます。決まったモデルから調整を加えていくパターンオーダー、イージーオーダーとは違って、フルオーダーは型紙自体を個々人に合わせてつくるものなので、文字通り自分のための一着がつくれるというわけです。生地を仮の形で縫い合わせたもので最終調整を行う「仮縫い」という工程があるのも、フルオーダーだけですね。まあ、つまるところとにかくかかる工程が多いので、上記2つよりも時間がかかるという話です。
納期は時期やお店によって異なる
ネット上ではよく、「パターンオーダーは2~3週間」「イージーオーダーは3~4週間」「フルオーダーは1~2ヶ月」という“定説”めいた情報が一人歩きしている感がありますが、これまで10着以上のオーダースーツを仕立て、かつ様々なオーダースーツ店を訪れてきた私の実感値も踏まえると、「パターンオーダーとイージーオーダーのお店なら1か月弱~1か月半」「フルオーダーのお店ならだいたい2、3か月程度」という方が実態に近い相場といえるかと思います。もう少し厳密にいうと、パターンオーダーは1か月前後、イージーオーダーは1か月強から1か月半くらいになることが多いでしょうか。フルオーダーだと、仮縫いを含めるとどうしても3か月くらいはかかってくるのですが、仮縫いを省いたりしているともう少し早く納品が可能になってきます(それを本当にフルオーダーと呼んでいいのかは別として)。
とはいいつつ、オーダーの区分によって大まかな相場はあっても、お店によってかなり事情は異なるということはぜひ事前に認識しておきたいところです。たとえばイージーオーダーの中でも、比較的簡易的な仕様(パターンオーダーに近い)になっているカシヤマの場合は、1~2週間という驚異的なスピードの納期を売りにしている一方で、ゼルビーノやファイブワンなどの“本格派”の場合は、2か月近くかかることもふつうにあります。お店ごとに納期に幅があるのがオーダースーツなんですね(レベル感に差が出やすいイージーオーダーは特に)。
当日に受け取れるスーツ
ここまで、既製品とオーダー、それぞれがどのくらいの納期で手に入るのかを述べてきましたが、実は当日のうちに納品できるタイプのスーツもなくはありません。
お直し不要スーツ
たとえば青山などの量販店では、あらかじめパンツの裾上げを済ませている(=パンツの長さまで決まっている)タイプのスーツも販売しています。細かい調整はできず、自分に最も近いサイズを選ぶという仕様です。主にウェブで売るための商品といことでしょう。サイズ調整が簡易的になる分、やはり生地や作りも本格仕様ではなく、かなり低価格な商品になってきます。
スーツカンパニーでは、ボタンで留めることで3段階の裾の長さに調整できるスーツも販売されています。時代に合わせた便利な商品ではありますが、これも本格スーツではありえない仕様なので、やはり低価格帯の品質にはなります。
あるいはユニクロでは、「感動ジャケット」など既製品からサイズを選ぶタイプの場合、デニムなとと同じようなカジュアルファッションとしての裾上げになるので、お店が混雑していなければ数時間後には受け取れてしまいます。ちなみにユニクロが展開する「セミオーダースーツ」の場合は、納品までは数日で済みます。「オーダー」という名称はついていますが、実際は膨大なサイズのパターンを揃えておいて、最も購入者に合うジャケットとスラックスを送る、という手法をとっているので、店舗では受け取れないものの、基本的には既存のものを受け取る形になるので、かなりスピーディに受け取ることができるというわけです。
まとめ:スーツの納期の考え方
ということで、既製品とオーダースーツそれぞれの納期の目安と、「スーツを当日中に受け取る方法」などについて述べてきました。急を要する場合は当日に購入できるものも便利ではありますが、やはりスーツはサイズばっちりでカッコよく着たいもの。ぜひ余裕をもった購入をオススメします。