お手頃価格でオーダースーツが作れるというファブリックトウキョウ。最近けっこうな値下げを行い、3.8万円からオーダーできるようになりましたね。私自身はこれまで手を出してこなかったのですが、HPの完成品が気になって、ついに同社のオーダースーツを作ってみました。3.8万円の最安スーツと、6.9万円のちょっと良いスーツの2着です。
その率直な感想をお伝えしつつ、これまで10着以上の低価格オーダースーツを仕立ててきた経験も踏まえ、コスパや品質について他店と比較しながら検証していきます。
ファブリックトウキョウのオーダースーツの特徴
まずは簡単に同社のオーダースーツの特徴を述べておきましょう。
低価格帯のオーダースーツ店の場合、基本的には最も簡易的な形式である「パターンオーダー」のお店が大半になるのですが、ファブリックトウキョウの場合はそれよりも細かい調整が利くとされる「イージーオーダー」にくくられます。
イージーオーダーを採用していながら、1着あたり3万8000円からオーダーができる(26年2月より値下げしてこの価格に)ので、これは「安い」と言っていいでしょう。
また全国展開するオーダースーツ店には珍しく、スタートアップ企業が運営するお店であることもあって、型紙がモダンでシュッとしている(←後述しますが、これはけっこう重要)ので、「サイズは合ってるはずなのになんかダサい」ということが基本的にはなく、誰が作ってもかっこよくなるよう設計されているのも特徴といえるでしょうか。
なお店舗で採寸、生地の確認、細部の調整などを済ませたら、あとはその情報をもとにネットで自分でオーダーする仕組みをとっています。ですから「一度採寸してしまえば、2回目以降の注文はネットで完結」ということを売りにしていますが、個人的には毎回きちんと採寸をしてもらいたいので、特に嬉しくはないですね(笑)。
作ってみたオーダースーツについて
では早速、私がオーダーした実物写真からご覧いただきましょう。
1着目:3.8万円のネイビースーツ
まずは1着目、最安生地のネイビースーツです。


生地は「SMART CARE WOOL」という、ウール70%、ポリエステル30%のダークネイビー。税込み38,000円です。
割高なイメージからこれまで敬遠していたのですが、結論から申し上げると、「スタイリッシュな良いスーツができた」という感想です。安いオーダースーツ店でありがちなシルエットのダサさがなく、また最安生地なのに上質なウール感があります。しかも値下げされて3万円台ということを考えると、かなりのコスパな気がします。
「初心者だけど絶対に失敗はしたくない」「とにかくかっこよさ重視でスーツを作りたい」という方にオススメできるお店だなと感じました。

簡単に仕様をご紹介すると、ジャケットは肩パットを抜いてナチュラルな雰囲気に寄せて(「スーツ」ではなく「セットアップ」として注文する必要があるので、詳しくは店舗で注文方法のご確認を)、パンツはワンタック(太ももあたりに入ったヒダ)にして雰囲気を出しています。

ちなみにシャツも同社でオーダーしたもの。サイズもばっちり、ノンアイロン仕様がついているので洗濯機で洗って干すだけで着られるので便利です(シャツについてはこちらの記事に)。

柔らかい雰囲気に作られているので、Tシャツスタイルでもハマります。休日でも着られそう。
今回のスーツ、サイズ感はほとんど「標準でお任せします」ということでお願いしましたが、ばっちりきまりました。前肩補正やジャケットの広がりを防ぐための微調整なども効いています。なお「あまり細すぎるのは好みじゃないです」とだけ伝えたので、ほんの少しゆったり目にしてもらっています。おそらく、そもそもの型紙がモダンにつくられている上、デフォルトのサイズ感も今っぽく設定しているので、誰が作ってもかっこよく仕上がるような仕組みになっているのでしょう。このあたりは仕組みとして良くできているなと思いました。
スーツとシャツを両方オーダーしても4.5万円くらいでしょうか。スーツだけオーダーしても、ジャストサイズのシャツが無ければ台無しです。他のオーダー店でもシャツは作れますが、どこも1着1万円以上かかるうえ、ノンアイロン加工がつくとさらに高くなります。ファブリックトウキョウの場合、ネットオーダー専業店(=採寸は自分で行う)と競う価格で「ノンアイロンシャツ」が作れるのは、正直かなり大きいと思います。
気になる方はこちらの公式サイト(↓)よりネット予約の上、まずは説明を聞いたりサイズを測ったり、生地を見てみたりすることをオススメします。購入はその後ご自身でネットで行うことになる(店舗で買う必要はない)ので、安心して訪問してみてください。
ファブリックトウキョウ公式で最寄り店舗・ネット予約方法を確認する
2着目:6.9万円のブラウンスーツ
もう一着は、AUTHENTIC TRAVELという、ウール100%の上質なブラウン生地で。店舗で採寸したのは一回だけで、あとはネットで同じサイズで生地だけを変えて注文しています。

写真だとけっこう暗めに見えますが、実物は“やや暗め”くらいの上品なブラウンという感じです。


ちなみに、ブラウンはもっと安い価格帯の生地にもあります。欲しいカラーが価格帯ごとにそろえられているのはありがたいですね。
生地の詳細
今回のネイビースーツの生地、「SMART CARE WOOL」(旧名:ENTRY TECH WOOL)は38,000円と低価格ながら、ほどよい光沢があり、天然素材と遜色ない印象で正直驚きました。低価格のオーダースーツだとだいたいポリエステルを含む生地になるのですが、ファブリックトウキョウはそういう低価格生地を上品に見せるのがかなりうまいなと感心したところです。
店舗で見られるサンプルに加え、ネットのオーダー画面では計10種類、無地×ダークカラーを中心に選択肢が用意されています。

もう一着、ブラウンカラーの「AUTHENTIC TRAVEL」の生地は、上品な光沢がありつつも、英国生地のような良い意味でのゴワゴワ感もあり、まさに「日常使いの良いスーツ」という感じ。これ以上光沢が強いと「気合入ってるな」感が出てきそうですが、このくらいだと自然なかっこよさがあって、個人的に気に入りました。昨今市民権を得てきているとはいえ、おしゃれ感の強いブラウンの生地ですから、光沢はこのくらいがちょうどいいなと感じます。
ちなみに、「AUTHENTIC」(税込み6.9万円)というシリーズが同社の一番の売れ筋の生地なのですが、それに次ぐくらい人気のこの「AUTHENTIC TRAVEL」は、もう少しマットな質感で、さらにシワになりにくい織り方になっているのが特徴です。
私の写真だと実際の色味が伝わりにくかったと思いますが、公式サイトにある実物写真をご覧いただくと、イメージがわきやすいかと思います。

ファブリックトウキョウのメリット・デメリット

では、実際に作ってみてわかったファブリックトウキョウのメリットとデメリットとは何なのか。これまで10着以上のオーダースーツを仕立てた経験も踏まえ、検証します。
型紙&採寸がモダン=「かっこいいスーツ」ができる
何よりのメリットはここでしょう。生地の良し悪しばかりに目が向きがちなスーツですが、そのかっこよさを左右するのは、いかに体に合っているかも含めた「スーツの形」に尽きます。丈感などのサイズが合っていることが重要なのはさることながら(←これはどのオーダースーツ店でもクリアできます)、スーツ自体の形やつくりが安っぽいと、どんなに高級な生地だとしてもかっこよくは見えません。
オーダースーツ店でも、お店によっては型紙(スーツの元の形)が古いままアップデートされていなかったり、表向きのスペックが優れているばかりで、肝心な型紙には力を入れていなかったりすることがあります。
その点ファブリックトウキョウは、スタートアップ企業らしく型紙がモダンでシュッとしたシルエットになっているので、どの生地を選んでも基本的にカッコいいスーツが仕上がるといっていいでしょう。本格的なイージーオーダーを採用しているので、標準体型の方はもちろん、特殊な体型をしている方でもそこがほとんど保証されているのが強みだといえます。「絶対に失敗したくない!」というオーダースーツ初心者の方こそ、安心してオーダーできるブランドだと思います。


実際にお写真をご覧いただいて、雰囲気がいいなと思ったら、そのフィーリングは大事にした方がいいかもしれません。そもそも完成品がかっこいいと思えるかどうかはかなり重要な点ですからね。「細かいことはよくわからないけど、とりあえずかっこいいスーツがほしい」という方には良い選択肢といえると思います。
「安い生地」のレベルが高い
これまでにオーダーした2着のうち、特に感動したのは38,000円の「安い方」でした。
ファブリックトウキョウはイージーオーダーにくくられるので、5万円程度からオーダーできる麻布テーラーなどが直接的な競合になるのですが、26年2月の値下げによって、そのあたりよりも1万円以上安くオーダーできるようになりました。
もう少し調整できる幅が少なくなるパターンオーダーにくくられるユニバーサルランゲージなど、1着3万円をきるような“超低価格店”とも価格で張り合えるレベルになってきました。
とにかく「安さ」を何より重視される場合はこうした“超低価格点”を選ぶのもありかとは思います。ファブリックトウキョウより1万円程度安くオーダーすることができます。一方でファブリックトウキョウの方が、「イージーオーダーで作れる」「型紙がモダンで『かっこいい』が保証されている」という点に加え、「安い生地のレベルが高い」という点で、価格差以上の優位性があると思われます。
以下、1着あたり3万円以下でオーダーできるユニバーサルランゲージやカシヤマの最安生地です。悪くはないのですが、値段相応感も否めません。


一方、ファブリックトウキョウの最安生地は、よほどのスーツ好きでない限り、ウール100%の生地と見分けがつかないレベルではないかと感じられます。

安い生地がこれだけのクオリティなので、「わざわざ高い生地でオーダーしなくていいかも……」というのが私の本音です。もちろん、上記のブラウンスーツもかっこよくて満足しているのですが、この価格差を考えると、3.8万円を2着つくるか、オーダーシャツを数枚買う方がいいかなという気もします。
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同じ生地のカラーが豊富
これも一般的な評判では見かけたことがないのですが、一つの生地に対してカラーバリエーションが豊富なので、微妙な色の好みまで選択できるというのはかなりのメリットだと感じました。
どのオーダースーツ店も、そろえている生地の種類はそれなりにあるものの、それぞれの生地はバラバラ。もちろん、ブランドごとに色んな生地を置いていたり、「フランネルスーツがほしい」と伝えれば店員さんがおすすめをピックアップしてくれたりはするわけですが、たとえば「この生地のネイビーがあったらよかったんだけど、色違いはないか…」「ちょっとグレーが明るすぎるから、ほんの少しだけ暗めなグレーがよかったな…」なんてことが度々起こるんです(オーダー慣れしている方はおわかりいただけると思います)。
その点ファブリックトウキョウの場合、先ほど述べた定番モデル「AUTHENTIC」=12色、尾州産のフランネル生地=12色、エントリーモデルのポリエステル混生地=12色といった具合に、横並びで色展開を豊富にそろえてくれているので、確実にピンとくるカラーに出会えるというわけです。特にネイビーやグレーなどの定番カラーは暗さ・明るさで段階をつけてくれているので、この点はかなりの強みだと思います。


ちなみに他店では数が少ないブラウン系の生地も、価格帯ごとに様々な色合いのものがありました。微妙な色までこだわって決めたい方にはかなり良いポイントかと思います。
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ネットオーダーは本当にメリット?
ファブリックトウキョウの中で、実店舗が担うのは採寸や生地等の紹介の役割でしかなく、購入自体はネット上で行うことがメリットとされています。「一度採寸してしまえば、同サイズで自宅でまた頼める」という便利さを売りにしているわけですね。
しかし、これは私に限った話なのかもしれませんが、せっかく高いお金を払ってスーツをオーダーするからには、毎回きちんと採寸をして丁寧に作りたい気持ちがあります。それを、「ネットで完結してラクラク~」などといわれても、特段メリットとは感じられないという話です。
とはいえまた店舗に訪れてじっくり採寸するとなると、けっこうな時間がかかってしまうのもまた事実。細かい微調整などにこだわらない方にとっては、メリットなのかもしれません。また当然ながら、オーダーする度に店舗で採寸し直してもらうこともできますので、その点はご安心を。
最安以外の生地は割高感あり?
と、ここまで良い感想が多くなりましたが、ウール100%のお高めな生地で比較すると、他店より割高感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。ウール100%でオーダーするには、私がオーダーした6.9万円が最低価格になってきます。もちろん、この価格でも他のイージーオーダー店と遜色ないレベルではありますが、逆に言うとお得感は薄れる印象です。
せっかくファブリックトウキョウでオーダーするなら、無理にウール100%の生地を選ばず、3~4万円台の低価格帯を攻める方が、コスパという意味では良いかなというのが私の感想です。
ただし「とりあえず安くオーダースーツを」という場合は、上記の通りパターンオーダーなどもう少し安いお店はあります。本当の意味での最安は、1着単体で2万円でオーダーできるSADAでしょうか。
「とにかくかっこいいシルエットのスーツを」「安くても生地のレベルにこだわりたい」「細かい色味にもこだわりたい」という場合はファブリックトウキョウを選ぶべきかと思いますが、とにかく安さを重視したいという場合は、他にも選択肢はあるという話です。
結論
というわけで、人気のオーダースーツ店であるファブリックトウキョウは、きちんと他店と比較しながらコスパを検証すると、「シルエットがモダンでかっこよく、安くても生地のレベルが高い」「絶対に失敗したくない初心者向けのオーダースーツ」「特に3.8万円の最安生地はコスパが高い」「ウール100%の生地はやや割高感あり」というのが私の感想です。
興味を持たれたら、まずは以下の公式サイト(↓)よりネット予約の上、生地を見たり説明を聞いてみたり、サイズを測ってみたりすることをオススメします。そのまますぐに買わないといけないというわけではなく、後でご自身でネットから注文する形式になるので、安心して訪問してみてください。
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他の低価格オーダースーツについて検証した記事については、以下を参考にしてみてください。