やや割高感があってなかなか手を出してこなかったのですが、HPの完成品が気になって、ついに私もファブリックトウキョウのオーダースーツを作ってみました。
その率直な感想をお伝えしつつ、これまで10着以上の低価格オーダースーツを仕立ててきた経験も踏まえ、コスパや品質について他店と比較しながら検証していきます。
作ってみたオーダースーツについて
早速、実物写真からご覧いただきましょう。
割高なイメージからこれまで敬遠していたのですが、結論から申し上げると、良いスーツができたと感じています。
今回はウール100%の「AUTHENTIC TRAVEL」という生地(税込み6.9万円)のブラウンを選んでみました。少し暗めに見えますが、実物はやや暗めの上品なブラウンという感じです。


簡単に仕様をご紹介すると、ジャケットは肩パットを抜いてナチュラルな雰囲気に寄せて、パンツはワンタック(太ももあたりに入ったヒダ)にして雰囲気を出しています。

サイズ感はほとんど「標準でお任せします」ということでお願いしましたが、ばっちりきまりました。前肩補正やジャケットの広がりを防ぐための微調整なども効いています。なお「あまり細すぎるのは好みじゃないです」とだけ伝えたので、ほんの少しゆったり目にしてもらっています。おそらく、そもそもの型紙がモダンにつくられている上、デフォルトのサイズ感も今っぽく設定しているので、誰が作ってもかっこよく仕上がるような仕組みになっているのでしょう。このあたりは仕組みとして良くできているなと思いました。
生地の詳細
今回仕立てたAUTHENTIC TRAVELの生地感は、上品な光沢がありつつも、英国生地のような良い意味でのゴワゴワ感もあり、まさに「日常使いの良いスーツ」という感じ。これ以上光沢が強いと「気合入ってるな」感が出てきそうですが、このくらいだと自然なかっこよさがあって、個人的に気に入りました。昨今市民権を得てきているとはいえ、おしゃれ感の強いブラウンの生地ですから、光沢はこのくらいがちょうどいいなと感じます。
ちなみに、「AUTHENTIC」(税込み6.9万円)というシリーズが同社の一番の売れ筋の生地なのですが、それに次ぐくらい人気のこの「AUTHENTIC TRAVEL」は、もう少しマットな質感で、さらにシワになりにくい織り方になっているのが特徴です。
私の写真だと実際の色味が伝わりにくかったと思いますが、公式サイトにある実物写真をご覧いただくと、イメージがわきやすいかと思います。

気になる方は公式サイトよりネット予約の上、まずは説明を聞いたりサイズを測ったり、生地を見てみたりすることをオススメします。そのまま購入する必要はありませんのでご安心を。
ファブリックトウキョウのメリット・デメリット

では、実際に作ってみてわかったファブリックトウキョウのメリットとデメリットとは何なのか。これまで10着以上のオーダースーツを仕立てた経験も踏まえ、検証します。
型紙が良い=「かっこいいスーツ」ができる
何よりのメリットはここでしょう。生地の良し悪しばかりに目が向きがちなスーツですが、そのかっこよさを左右するのは、いかに体に合っているかも含めた「スーツの形」に尽きます。丈感などのサイズが合っていることが重要なのはさることながら(←これはどのオーダースーツ店でもクリアできます)、スーツ自体の形やつくりが安っぽいと、どんなに高級な生地だとしてもかっこよくは見えません。
オーダースーツ店でも、お店によっては型紙(スーツの元の形)が古いままアップデートされていなかったり、表向きのスペックが優れているばかりで、肝心な型紙には力を入れていなかったりすることがあります。
その点ファブリックトウキョウは、スタートアップ企業らしく型紙がモダンでシュッとしたシルエットになっているので、どの生地を選んでも基本的にカッコいいスーツが仕上がるといっていいでしょう。本格的なイージーオーダーを採用しているので、標準体型の方はもちろん、特殊な体型をしている方でもそこがほとんど保証されているのが強みだといえます。「絶対に失敗したくない!」というオーダースーツ初心者の方こそ、安心してオーダーできるブランドだと思います。

実際にお写真をご覧いただいて、雰囲気がいいなと思ったら、そのフィーリングは大事にした方がいいかもしれません。そもそも完成品がかっこいいと思えるかどうかはかなり重要な点ですからね。「細かいことはよくわからないけど、とりあえずかっこいいスーツがほしい」という方には良い選択肢といえると思います。
同じ生地のカラーが豊富
これも一般的な評判では見かけたことがないのですが、一つの生地に対してカラーバリエーションが豊富なので、微妙な色の好みまで選択できるというのはかなりのメリットだと感じました。
どのオーダースーツ店も、そろえている生地の種類はそれなりにあるものの、それぞれの生地はバラバラ。もちろん、ブランドごとに色んな生地を置いていたり、「フランネルスーツがほしい」と伝えれば店員さんがおすすめをピックアップしてくれたりはするわけですが、たとえば「この生地のネイビーがあったらよかったんだけど、色違いはないか…」「ちょっとグレーが明るすぎるから、ほんの少しだけ暗めなグレーがよかったな…」なんてことが度々起こるんです(オーダー慣れしている方はおわかりいただけると思います)。
その点ファブリックトウキョウの場合、先ほど述べた定番モデル「AUTHENTIC」=12色、尾州産のフランネル生地=12色、エントリーモデルのポリエステル混生地=12色といった具合に、横並びで色展開を豊富にそろえてくれているので、確実にピンとくるカラーに出会えるというわけです。特にネイビーやグレーなどの定番カラーは暗さ・明るさで段階をつけてくれているので、この点はかなりの強みだと思います。


ちなみに私がほしかったブラウン系の生地も様々な色合いのものがありました。微妙な色までこだわって決めたい方にはかなり良いポイントかと思います。
ネットオーダーは本当にメリット?
ファブリックトウキョウの中で、実店舗が担うのは採寸や生地等の紹介の役割でしかなく、購入自体はネット上で行うことがメリットとされています。「一度採寸してしまえば、同サイズで自宅でまた頼める」という便利さを売りにしているわけですね。
しかし私は、まったくもってメリットとは感じられませんでした。
私のような庶民からすると、1着数万円もするようなスーツをわざわざオーダーメイドで仕立てる機会なんて、そんなに頻繁にあることではありません。それだけ数少ないオーダーの機会であれば、きちんと採寸し直したり、細かい仕様を店員さんと相談したりしたいものです。そういう高い買い物を、「前と同じで頼めてラクラク~」などとネットで気軽に頼むなんてことはしたくないなと、個人的には思います。これがワイシャツのような消耗品であれば話は別だと思うんですけどね。
とはいえまた店舗に訪れてじっくり採寸するとなると、けっこうな時間がかかってしまうのもまた事実。細かい微調整などにこだわらない方にとっては、メリットなのかもしれません。
生地代の割高感はある
と、ここまで良い感想が多くなりましたが、最初に述べた通り、他の低価格店と生地の価格だけを単純比較すると、やや割高感があるのは事実。4万円ほどの最低価格の場合はポリエステルも含むというのは競合店とそこまで変わりはありませんが、ウール100%の生地となると6.9万円~という価格設定は割高感があります。
もちろん、ポリエステル混生地でもしっかりウール見えするものがそろえられていますし、生地によって様々な機能性が備わっていたりするので、それが一概に悪いなんて話ではありません。それにファブリックトウキョウはイージーオーダーのお店になるので、グローバルスタイルなどのパターンオーダー(オーダースーツの中で最も簡易的なもの)店と単純比較するのはナンセンス。先ほども述べた通り、スーツのカッコよさとは生地よりもサイズ感や型紙などの方が重要なので、この生地の割高感をどう判断するかというところでしょう。
「とにかくかっこいいスーツを」という場合は非常に有効な選択肢かと思いますが、できるだけ安く、良い生地で仕立てたいという思いの方が勝る場合は、より低価格なお店を選ばれた方が良いかと思われます。
結論
というわけで、人気のオーダースーツ店であるファブリックトウキョウは、きちんと他店と比較しながらコスパを検証すると、「やや高めだけどメリットはたしかにある」「絶対に失敗したくない初心者向けのオーダースーツ」というのが私の感想です。
興味を持たれたら、まずは以下よりネット予約の上、生地を見たり説明を聞いてみたり、サイズを測ってみたりすることをオススメします。そのまますぐに買わないといけないというわけではありませんので。
他の低価格オーダースーツについて検証した記事については、以下を参考にしてみてください。