女性がときめくスーツ姿の正解と不正解 低価格でもかっこいい着こなしへ

女性は男性のスーツ姿が好き。よく言われることですが、この言葉、そのまま真に受けてしまってもいいのでしょうか。

私自身、少し前まで「とりあえずスーツを着ておけばいいんでしょ」なんて浅はかな考え方のもと、量販店でできるだけ安くおさえることしか考えていなかったのですが、多少なりともスーツに興味をもって勉強していくと、そう単純な話でもないのではないかと思うようになりました。どうやら、本当に女性がときめくようなスーツ姿をつくりあげるには、ある程度クリアしておかないといけない事項がいくつかあるのです。

そこで本稿では、女性がスーツ姿にときめく理由や、かっこいいと思われるかどうかの分かれ目、そしてよりかっこいい着こなしをするためのポイントなどについて、できるだけ予算をかけない方向性を重視しながらお伝えしていこうと思います。

目次

スーツ姿に女性がときめく理由とは?

そもそも、女性はなぜ「男性のスーツ姿」をかっこいいと感じるのでしょうか。

まず大きいのは、「スーツ=男らしさを象徴する服装」である点です。

ビジネスシーンやフォーマルな場では男性の正装として共通認識があり、社会的に「大人の男が着るべき服」とされています。そのため、スーツを着ているだけで成熟した男性らしさや知性、頼りがいのある印象を与えるというわけです。

また、スーツ自体が身体のラインを美しく見せる構造になっています。一般的なカジュアルファッションと違い、肩やウエスト、パンツのシルエットが計算された作りになっているため、着るだけで自然とスタイルがよく見えます。たとえばジャケットが肩幅を強調し、逆にウエストが絞られていることで逆三角形の体型を演出すると、女性が本能的に魅力を感じる「男らしい体型」に近づける効果があるとも言われています。まあ、そこまで「いかにも」というシルエットになるかは体の鍛え方によるとは思いますが、少なくともどんな体型の男性でもかっこいいシルエットになるのがスーツなんですね。

その上で、スーツはある程度決まった着方をするだけなので、ファッションセンスが問われにくいという特徴もあります。カジュアルファッションであれば、アイテムの選び方や色の組み合わせ、シルエットのバランスなど、多くの要素が求められますが、スーツの場合、基本的なルールに従って着るだけで、一定以上の「きちんと感」が演出できます。

なんだかこまごまと御託を並べてしまいましたが、簡単に言うと、「スーツという服自体がかっこよく見えるようにできていて、かつダサい人でもそれなりに見える」ということです。恋愛コンサルタント的な職業の方は、ファッションセンスに自信がない方ほど、女性との初対面の際はスーツを着ていくように口を酸っぱくして述べています。そこには「正装でいくことの誠意」というだけでなく、自身の印象をよくするため、という合理的な理由もあったのですね…。

しかし難しいのは、「スーツさえ着ていればいい」という話ではないところにあります。以下に詳しくお伝えしていきますね。


スーツ姿をダメにする2つの要素

上記のように、「スーツ姿の男性がかっこいい」と思われることにはそれなりの理由があるわけですが、それは「きちんとスーツを着ていること」が大前提であることを忘れてはなりません。

特に重要なのが、清潔感とサイズ感です。

清潔感

まずは清潔感について。これはどんなファッションだとしても、言わずもがなのことですよね。特にスーツは「きれいめ」の代表的な服装であるがゆえに、その清潔感が保たれていないとより目立ちます。例えば、スーツにホコリやフケがついていたり、ワイシャツがシワだらけだったりすると、カジュアルな服装以上に不潔な印象を与えてしまいます。ワイシャツがよれよれだったり、靴がひどく汚れていたりしても、“スーツスタイルだからこそ”目立ちます。どんなに高級なスーツを着ていても、そういう「不潔感の積み重ね」がその価値を台無しにしてしまうのです。

サイズ感

続いてサイズ感。特段の不潔感がなくとも、街を歩くサラリーマンのスーツ姿を見て「かっこいい」と皆さんが感じないのは、サイズ感が影響している部分が大きいです。それこそどんなに高級な生地をつかっていても、サイズ感が合っていなければ、「高そうだなスーツだな」とは思われても、本能的にかっこよく感じるものにはならないのです。

逆に言えば、清潔感とサイズ感という2つだけを徹底して守っていれば、ちゃんとかっこよく見えるのがスーツスタイルの良いところともいえます。


だからこそ「サイズ感」で差をつける

とはいえ、清潔感は意識すれば誰でも改善できる要素だとしても、「サイズ感」については、なかなか難しいなと感じた方も多いのではないでしょうか。量販店でスーツを買うとき、試着をして、裾上げまでしているわけですから、「それで十分じゃないの??」と思うのも当然だと思います。

もちろん、そのような量販店で買ったスーツのサイズ感が悪いというものではないですし、それなりに見えるのもまた事実です。しかし、スーツはフォーマル度の高い服装であるため、わずかなサイズの違いでも「不調和感」が生まれやすい特徴があるのです。購入時にサイズが合っているように見えても、ジャケットの丈や袖の長さ、肩や首周りなどに、どうしても少しずつズレが生じている。この微妙なズレの積み重ねが、フォーマル度の高いスーツにおいては「不調和感」を生み出しているということです。街のサラリーマンで、一見問題なくスーツを着こなしているように見えるのに、「スーツ姿かっこいいな」と思うことが少ないのは、これが大きな理由といえます。

オーダースーツが支持される理由

そこで、本当にスーツ姿をかっこよく見せるためには、オーダースーツという選択肢がどうしても必要になってくるわけです。

既製品と比べると価格が高めになることが多いものの、その分、自分の体型に合わせたスーツを作ることができ、着たときのシルエットの美しさが格段に向上します。実際、街で「この人、スーツ姿がかっこいいな」と思うことがあれば、それはおそらくオーダースーツを着ている人である可能性が高いです。既製品より少し高いとしても、それだけサイズ感が重要な世界だからこそ、スーツにこだわりを持とうと思ったらまず、オーダースーツに手を出さざるを得なくなるのです。

オーダーの場合、肩幅やウエストの絞り具合、パンツのシルエットなど、当然ながら既製品ではできない調整が利くのですが、こういうちょっとした違いの積み重ねで、スーツの見え方は大きく変わります。「ダサくはないんだけど……」から脱却して、万人に「かっこいい」と思われるスーツ姿をつくりあげるには、オーダースーツは避けて通れないといっても過言ではないのです。

今はオーダースーツも安くつくれる時代

でも、オーダースーツってお高いんでしょう?

と、テレビショッピングさながらの声が聞こえてきそうですが、今は各社の競争が働き、かなり安くオーダーできる時代になっています。

たとえば、オーダーの中でも細かい調整が利く順に、「フルオーダー」「イージーオーダー」「パターンオーダー」と主に3段階ある中で、「パターンオーダー」であれば、今はきちんとした品質のものでも2万円台からつくれるようになっています。

パターンオーダーとなると、主に肩幅に合わせて基準となる「ゲージ服」が何種類もそろえられている中から、体に合うものを選び、そこに体型ごとの補正を加えていくやり方になります。一から型紙をつくるのではなく、ある程度工程が効率化されているからこそ、この低価格が実現するようになっているのです。

しかしパターンオーダーといえど、既製品との違いは段違い。スーツにおいて重要な部分はどこも体に合わせた調整ができるようになっているので、まずはパターンオーダーのスーツが低価格で仕立てられるお店からはじめてみるのが良いかもしれません。

低価格オーダースーツ店について検証した記事はこちら(↓)から。

さらに差をつけるために必要なこと

さて、こうして「不潔感」を徹底的に排除し、さらにオーダーによってサイズ感がしっかり合うスーツをつくることができれば、基本的にはかっこいいスーツ姿の完成です。ですがさらにワンランク上の着こなしを目指すためには、もう少し細かいところにまでこだわることをおすすめします。スーツ好きの方からしたら常識的なことなのかもしれませんが、意外にできていない方が多いです(かくいう私自身が少し前までそうでした…)。

第1ステップ:ネクタイの締め方と袖口のシャツの出し方

そこで第1段階として注意したいのが、「ネクタイの締め方」「シャツの見せ方」です。

まずはネクタイ。高いスーツを着ていても、意外と適当に締めている人が多いのが現実です。私が偉そうに言える立場ではないのですが、締め方が甘く、首元に隙間ができていたり、ノットが緩い感じになっていたりする人、本当に多いです。きゅっとネクタイを締めて、かつディンプルをつくるだけで、もう印象はがらっと変わります。

続いて見落とされがちなのが、袖口です。本来、ワイシャツの袖をジャケットの裾から1~1.5cm程度見せるのが最も美しい着方とされています。既製品のスーツだと、ジャケットの袖の長さまでは基本的に調整ができない(あるいは有料サービスになる)ため、ジャケットの袖が長くてワイシャツが見えていなかったり、逆にジャケットの袖が短すぎてワイシャツが見えすぎていたりする人はたくさんいます。「そんな細かいことを……」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にきちんとしたバランスの着こなしを見ると、その美しさがおわかりになるはずです。

第2ステップ:仕立てにこだわる

第2ステップとして、オーダースーツの「仕立て」にまでこだわってみることをオススメします。

オーダースーツといっても、すべてが同じ品質ではなく、仕立てのレベルによって仕上がりが異なるのもまた事実。フルオーダー、イージーオーダー、パターンオーダーと自由度の高さによってもランクがありますし、同じパターンオーダーの中でも、ハンドメイドの工程が多いものや、国内縫製で評価の高いブランドを選ぶことで、見栄えも着心地もより良いスーツが出来上がってきます。

特に、首や肩周りの仕立てがしっかりしているスーツは、ぱっと見では違いが分からなくても、全体のシルエットや着心地に大きな影響を与えます。この、はっきりとした言葉にはしづらいフィット感や雰囲気こそが、無意識のうちに「かっこいい」と思わせる要因の一つとなるわけです。

たとえばイージーオーダーでかつ国内縫製でありながらコスパ良くオーダーできる“ワンランク上”のスーツ店なら、花菱などが挙げられるでしょうか。

「仕立てにこだわってみる」という提案を申し上げましたが、必ずしも高級生地を選ぶ必要はありません。もちろん私もイタリアや英国のインポート生地も好きなのですが、国産のノーブランドの生地でも、「ウール100%」なら品質は十分だと思っています。最低限の品質が確保されたウール100%生地なら、そこから生地のレベルを上げる(インポートものにするなど)よりも、仕立てにこだわる方が良いスーツが仕上がる可能性は高いです。まあそれでも、有名ブランドの生地で仕立てたくなるものなんですけどね(笑)。

なお低価格のオーダースーツの場合、基本的にポリエステルが50%程度混ざっている生地が選択肢になってくるので、その場合はできるだけウールに近い見え方の生地を選ぶことをオススメします。今はポリエステルが混ざっている生地でも、ほとんどウールにしか見えないようなものもたくさんありますからね。

というわけで、女性がときめくスーツ姿をつくるための必要事項について、ステップに分けてご紹介してきました。意外にも、ちょっとした意識を積み重ねるだけで、それほど予算をかけずとも周りと差をつけるスーツスタイルを身に着けることができると、おわかりいただけたと思います。「とりあえずスーツを着ていればかっこいいんでしょ」から脱却して、ぜひかっこいいスーツスタイルをお楽しみいただけたらと思っています。

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