2~3万円台のオーダースーツを仕立てるなら、生地はウール100%というわけにはいかず、基本的にポリエステルも混ざったものになります。
とはいえお店によって、最低価格帯の生地におけるポリエステルの配合率はまちまち。ウールとポリエステルが半々の生地(それぞれ50%ずつの配合)が多いですが、場合によっては、ポリエステルを70%も含む生地もあれば、30%しか含まない(=70%はウール)の生地もあります。
そこで本稿では、ポリエステルの配合率が70%、50%、30%という3種類どれも作ったことのある私の実体験を踏まえつつ、それぞれの違いについてお伝えしていきます。
ポリエステル70%の生地
まずはポリエステルの配合率が最も高く、70%含む生地から見ていきましょう。つまりポリエステル70%・ウール30%という配合率の生地ですね。
カシヤマにて仕立てた生地とスーツがこちらです。


写真だとなかなか伝わりづらいのですが、さすがにウール感はやや薄めな印象。カシヤマも大手店ではあるので、さすがに「とても着られない!」というレベルでは全然ありませんが、やはり安っぽさは多少感じます。
一方、ファブリックトウキョウで仕立てたポリエステル70%の生地は、かなり上質なものに感じました。スーツに詳しい人が近くでよくよく観察しない限り、ウール100%と遜色がないように感じられます。着心地としてもかなり柔らかいので、そこはオリジナル生地自体もつくっている同社として、けっこう工夫しているのだろうなと思われます。

ポリエステル50%の生地
もう少しポリエステルの配合率が下がり、ポリエステル50%・ウール50%の生地だと印象はどう変わるでしょうか。
ユニバーサルランゲージで仕立てた、ポリエステル50%のスーツがこちらです。

正直、上記のカシヤマの生地(ポリエステル70%)とそう大きな違いがあるわけではありませんが、こちらの方がやや柔らかめな質感があり、またポリエステルっぽいテカリ感はおさえられている印象は受けます。ぱっと見での差は小さくても、20%の違いはあるにはある、といったところでしょうか。
もちろん、上記のカシヤマとファブリックトウキョウの生地の違いのように、「ポリエステル50%」の生地の中でも良し悪しはあるわけですが、基本的には、やはりウールの配合率が高い方が良くなる傾向があるといってよいかと思われます。
ポリエステル30%の生地
さらにもう一段階ポリエステルの配合率が減った「ポリエステル30%・ウール70%」の生地についても見ていきましょう。
意外なことに、1着2万円ぽっきりで仕立てたSADAのスーツが、これに当たります。破格なほどに安い割に、こういう生地もあるんですね。


SADAの場合、1着丸ごとのサイズで生地を選べるので、写真からも質感がある程度伝わるのではないでしょうか。ポリエステル独特のテカテカ感はかなりおさえられていて、天然素材の風合いが、これまで紹介した生地よりもワンランク上の印象です。ウール100%のような上質な光沢感まではないものの、ウールを70%も含むので、光沢がおさえられたウール100%生地と遜色のないレベルになっているように見えます。
ちなみに上記の生地はかなりの掘り出し物でしたが、ポリエステル50%・ウール50%の生地でも、SADAはけっこうしっかりしているものが多い印象です。こちらのチャコールグレーの無地は、英国調のかなり上質なウールの風合いがあります。これも2万円でオーダーできるとは、けっこうな破格感がありますね。

まとめ
ということで、ポリエステルの配合率に応じて生地の風合いがどのように変わるのか、私が仕立てたスーツをもとに検証してみました。同じ配合率でも違いがあるという事実の半面、やはりウールの配合率によって質感が変わってくる事実もあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
お店選びの一つの参考にしていただけましたら幸いです。