男性を最もかっこよく見せるファッションの一つが、スーツだといって間違いないでしょう。しかしスーツに合う体型って、どのくらいなものなのでしょうか。
パリコレモデルような細身が似合うのか、マッチョ体型の方がかっこいいのか、それとも普通体型が結局ベストだったりするのか……。
そんな疑問に、一つの考え方をお示ししていきたいと思います。
細身体型の場合
まず思い浮かぶのは、細身の体型でしょう。
たとえばファッションモデルの方って、一般人よりもだいぶ細いですよね。それは基本的に、細身体型の方が洋服を美しく見せることができると考えられているからです。というか、ファッションブランド側がそう考えているから、細いモデルを起用するわけですよね。
ですから原則として、細身=服が似合うというのは基本ルールとして理解しておいてよいと思います。少し前の痩せ型ブームに揺り戻しの動きが起こり始め、「ガリガリの男はださい」「男はみんな筋トレすべきだ」という風潮になってきていますが、痩せ型が服を美しく見せるという事実はそう簡単には変わらないでしょう。
とはいえそれは基本的にカジュアルファッションの場合。ファッションモデルがスーツを着てランウェイを歩く姿を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、基本的にそれは正統派のスーツというより、おしゃれに寄せたスーツです。形や細かなデザインなどに大きな特徴があるものなので、ふつうのスーツとは事情は異なります。
では、ふつうのスーツの場合どうなのか。
オーダースーツブランドのHPに載っているモデルさんを見てみると、たしかにスタイルが良いとはいえ、パリコレモデルような細さではない方が起用されていることも多いことにお気づきになるのではないでしょうか。

こういうところから、「もしかしたらあまり細すぎない方がスーツは似合うのでは…?」という推測が立ってくるのです。
「細身=スーツが似合う」も事実だけど…
そうは言っても、細身だとスーツが似合わないなんてことはなく、あらゆる服装が似合う体型であることは揺るがない事実といえそうです。
たとえば、スーツ姿のイメージが定着しているファッションディレクターの干場義雅さん。かなり細身の体型ですが、グレースーツをきれいに着こなしています。パンツも細めなものを着ていたり、パンツの裾もやや短めなことが多かったりすることも含めて、自分に合うサイズ感に合わせてスーツを着こなしている印象です。
以下、YouTube「B.R.CHANNEL」より。
ただし干場さんの場合、カラダもある程度鍛えていて、「引き締まった細さ」であることは忘れてはいけません。いわゆる不健康なイメージも伴うガリガリな体型ではないということです。
ガリガリな体型とはつまり、カラダにメリハリがないことでもあります。一方スーツというのは、「立体感のファッション」ともいえます。良いスーツほど、ラペルを中心とした胸元の部分や、肩回り、胴回り、太ももなど、男性らしさを立体的に美しく見せるから、スーツ姿がかっこよくなるわけです。
ですから、基本的にファッション映えする細身体型は、当然肥満体型よりはよいのですが、あまりにペラペラだと、それはそれで立体感に欠け、頼りないイメージが先行してしまうということです。この点は、「とりあえず細ければ似合う」という側面が強いカジュアルファッションとの違いといえるのではないでしょうか。
筋肉質の場合
そうなると、やはりある程度の筋肉はあった方がスーツ姿はかっこいいということになってきます。
周知の通り、スーツは英国で発祥し、イタリアやアメリカなどを中心に、それぞれで独自の文化を築いてきました。それが近代化を進める日本でも浸透し、今や世界共通のフォーマル服となっているのですが、もともと欧米人のためにつくられた衣服であるだけに、欧米人の男性をかっこよく見せる形がベースになっているものであるわけです。
欧米人の体つきはアジア人とは大きく異なります。たとえば胸板がかなり厚く、筒状の形に近いくらいです。
でも、欧米人のスーツ姿って、日本人よりかっこよく見えることが多いですよね。ハリウッド俳優のスーツ姿がよくメディアやネットで取り上げられるのも、欧米人がそれだけスーツをかっこよく着こなしているからです。

これも、スーツが立体感によって男らしさを表すファッションだからだといえます。欧米人の胸板が、スーツによって上品に強調され、男らしいかっこよさが際立つわけです。ですから逆に、日本人のガリガリ体型だとその正反対ですから、いくらTシャツが似合っていても、スーツだとどこか頼りなさが先行してしまうんですね。
本稿の一つの結論として、ほどよい筋肉は、スーツ姿をかっこよく見せるために重要な要素だといえそうです。
マッチョ体型の場合
では筋肉質を越えて、いわゆる「マッチョ」と言われる方はどうか。
マッチョな方がオーダースーツを着ているYouTube動画など、最近よくあがっていますよね。コメント欄をみると、「かっこいい!」という声が大半です。
私はこれについては、「半分正解・半分不正解」という考えを持っています。
というのも、そのかっこよさは、オーダースーツがバシッとハマっているかっこよさというよりも、単に「マッチョゆえの男性らしさ=かっこいい」に引っ張られている部分が大きいと思うからです。
当然スーツは、肩や腕、足など、体が部分的に際立って張り出す形になるマッチョ体型のために設計された衣服ではありません。たしかに、ガリガリでも肥満体型でもマッチョ体型でも、どんな体型でもかっこよく見せられるのがオーダースーツではありますが、体型が整っていればより美しく見せられるということに変わりはないわけです。
ですから、もともとマッチョに対してかっこいいと感じている方が、マッチョが体にフィットしたスーツを着ている姿を見てかっこいいと感じるのもよくわかるものの、それはマッチョだからスーツが似合っているという文脈ではなく、単にマッチョのスーツ姿をかっこいいと感じているということです。
ややこしい話になってしまいましたが、つまりは「マッチョのスーツ姿がかっこいい」という事実があったとしても、「スーツに一番合う体型はマッチョとは限らない」ということです。あれだけ体の凹凸があるのだから、それは当然でしょう。ほどよく胸板がありつつも、極端に盛り上がったところはない「筋肉質」くらいの方が、かっこいい形状になるといえるのではないでしょうか。
「オーダースーツなら体型関係なくかっこよくなれる」は事実

ということで、月並みな結論ではありますが、ほどよい筋肉があるくらいが一番スーツ型を美しく見せられる体型といえると思います。
とはいえそれは体型を比較した相対的評価であって、きちんと体に合ったオーダースーツなら、どんな体型でもかっこよくなれることは揺るがない事実かと思われます。それだけスーツにおいてサイズ感が重要ということであり、またサイズ感さえ合っていれば誰でもかっこよくなれるというスーツの素晴らしい点でもあるわけです。
また、一度オーダースーツを作ると、「せっかく作ったスーツに似合う体型を維持しよう」という気持ちも働くようになり、人生を通してポジティブに働くケースも大いにあります。一方、オーダー品はある程度お直しが効くので、たとえばその後にダイエットが奏功して痩せたら、少しタイトに調整し直すこともできます(限界はありますが逆に広げることも多少はできます)。
「体型を良くしてからオーダーしたい」という声も目にしますが、こうした理由から、まだオーダーにチャレンジしたことのない方は、「今のご自身を彩るために、今オーダーする」のが最適解だと強く思っています。
体型も無理ない範囲で意識しつつも、ぜひ人生を豊かにするオーダースーツライフに足を踏み入れていただけると私としても嬉しいです。