パターンオーダーだと意味ない?既製スーツやイージーオーダーと比較して…

オーダースーツと一口にいっても、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーと色々あります。この中でも最も調整できる箇所が少なく価格が抑えられているのがパターンオーダーなのですが、果たしてそれではオーダーの意味がないのか?少し良い生地の既製品を買った方が良いのか?本稿ではそんな疑問にお答えしていきます。

目次

パターンオーダーとは

パターンオーダーでつくったスーツ

そもそもパターンオーダーとは、規制のサンプル品(ゲージ服)から最も自分のサイズに合うものを選び、そこから丈感などを調整していくオーダースーツの形式です。たとえばジャケットなら、肩幅に合わせたものを選び、ジャケット自体の丈や、袖の長さ、ウエストの絞り具合を調整していくイメージです。

オーダースーツの中では最も工程が簡略化されている形式で、後に説明するイージーオーダー、フルオーダーよりもランクは下とされています。体に合わせた調整や好みに合わせた調整が利く順に、フルオーダー、イージーオーダー、パターンオーダーという感じです。

ですがパターンオーダーはその分価格が抑えられているのが何よりのメリット。ユニバーサルランゲージやグローバルスタイルなど、「2着5万円」という低価格でオーダースーツを展開しているお店の場合、だいたいがパターンオーダーだと思っていいでしょう。

それに、追って詳しくご説明しますが、パターンオーダーだからといって質が低いという単純な話ではありません。オーダースーツの良し悪しを決める要素は他にもたくさんあり、たとえば縫製は海外か国内か、国内だとしたらどこの工場で製造しているか、機械工程の中にどれくらいの割合で手作業が含まれているか、芯地に使われているものは何か(毛芯か接着芯か)、型紙は時代に合っているものか、型紙が自分の体型にどれくらい合っているか、などなど……。パターンオーダーかイージーオーダーかというのも大事な要素であることに変わりはありませんが、あくまでも一つの要素であることは認識しておくべきでしょう。

イージーオーダー、フルオーダーとは

パターンオーダーの理解を深めるためにも、簡単にイージーオーダーとフルオーダーについても触れておきましょう。

まずはイージーオーダー。実は基本の合わせ方はパターンオーダーと同じで、自分に合うサンプル品を選び、そこから調整を加えていくスタイル。ただしパターンオーダーよりも調整できる部分が多いというイメージですね。

ジャケットのラペルの太さやゴージライン(上の襟と下の襟の間にある切れ込み)の位置、肩まわりの補正、パンツのテーパード具合や太さ加減など、かなり細かいところまで調整がきくので、より自分好みの一着に近づけることができるというわけです。パターンオーダーよりも体型に合うスーツができるともいえるとは思いますが、パターンオーダーもイージーオーダーもつくった経験のある私からすると、何より細部まで調整できるのが楽しいという気持ちの方が大きいですかね。

イージーオーダーでつくったスーツ

これがフルオーダーになると、そもそもスーツの作り方自体が変わってきます。決まったモデルから調整を加えていくパターンオーダー、イージーオーダーとは違って、フルオーダーは型紙自体を個々人に合わせてつくるものなので、文字通り自分のための一着がつくれるというわけです。生地を仮の形で縫い合わせたもので最終調整を行う「仮縫い」という工程があるのも、フルオーダーだけですね(すべてのフルオーダースーツ店が仮縫いを採用しているわけではありません)。

ですから本格的なフルオーダーの場合、最低でも2、30万円くらいはかかる上、仮縫いを含めると完成まで3か月くらいはかかることになります。

ちなみにイージーオーダーは最も価格幅の広いタイプで、パターンオーダーとそれほど変わらないくらいの金額感で提供しているお店もあれば、最低でも10~20万円くらいはかかるとしているお店もあります。

パターンオーダーでは意味がないのか…

ここまでの話を踏まえると、「既製品に毛が生えたくらいのパターンオーダーなら、わざわざオーダースーツで作る意味はあまりないのは?」「既製品で良い生地のスーツを買った方がいいのは?」とお感じの方もいらっしゃるでしょう。しかし結論から申し上げると、「パターンオーダーでも十二分に価値がある」ということになります。

パターンオーダーとはいっても、オーダースーツであることに変わりはなく、既製品とは大きな違いがあります。

既製品の場合、ジャケットはだいたい肩幅を中心に合わせていくものなので、ジャケット自体の丈やウエストまわり、袖の長さなど、どんな方でもどこかしらにズレは生じてしまうものです。まして、既製品だと基本的に上下で決まったサイズを購入しないといけないことが多いため、そのズレはパンツにも及んでいきます。

この点パターンオーダーなら、工程が簡素化されているとはいっても、少なくとも重要な箇所についてはきちんと体にあわせた調整が利くようになっているので、既製品に比べたらはるかに見栄えの良いスーツができるのは確かです。

スーツをかっこよく着こなすために重要なのは、何より体に合ったサイズ感で着ることです。要所要所にズレがあったら、いくら高価な生地のスーツでも、「高そうだな」と思われることはあっても、「かっこいい」という感情に直結はしないんです。逆に、大して高価でもない生地でも、きちんと体に合ったサイズ感になっていたら、ちゃんとかっこよく見えるものです。電車に乗っていて「あの人のスーツ姿かっこいい!」となかなか感じることがないのは、きっとサイズ感が原因です。

ですから、スーツにおいてお金をかける優先度でいうと、生地のレベルよりも、サイズを合わせることの方が基本的には上なんですね。もちろん、既製品でも体にばっちり合うという方の場合は、「既製品でより良い生地で」という考え方もあるでしょう。ただ昨今はオーダースーツ界の競争が激化して、パターンオーダーなら「2着5万円」、つまり1着2万5000円くらいから仕立てられる時代ですから、もう既製品と大きな違いはないんです。そう考えると、低価格で体に合ったオーダースーツがつくれるパターンオーダーこそ、スーツ界の最強コスパ品といえるかもしれませんね。

ということで、「パターンオーダーは意味がないのでは?」とお感じになっていたであろう方に向けて、その実態について解説いたしました。実際に低価格でつくれる&品質がしっかりしているオーダースーツ店については、こちら(↓)の関連記事を参考にしてみてください。

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