オーダースーツを作る際、大半のお店が、小さい生地見本しか用意していません。別にそれが悪いという話では全くもってないのですが、見本が小さいと完成品をイメージするのがなかなか難しいんですよね。私自身、「思っていた色味とイメージが違った」ということがちょこちょこありました。
そこで本稿では、これまで10着以上のオーダースーツを仕立ててきた私の経験も踏まえながら、「小さい生地見本から完成品をイメージするコツ」について、お伝えしていきます。
完成品は少し明るめに見える
小さい生地見本となると、だいたいこんな感じで、ボードに貼り付けられた形式か、ブック型の形式(いわゆるバンチブック)の2種類あります。


いずれにせよ、これらは「見本」でしかなく、かなり小さめに切り取られたものになります。
この場合、まず注意すべきは、「完成品の色味は、思っていたより明るくなりがち」ということです。視覚的な面積効果がはたらき、小さな見本だと落ち着いて見えた色でも、スーツ一着分の大きな面積になると、色の主張が増すということです。
スーツとなると、色が暗い分には使いやすいことに変わりはないのですが、「少し攻めた色を選んだのに思ったより明るい」となると、使いづらいということになりかねません。
「この色だとちょっと明るすぎるかな……」などと迷った場合、完成品は明るい印象になりがちということを意識して生地を選ぶとよいでしょう。
大きい生地見本の場合

逆に一着丸ごとサイズで見られるお店の場合、思っていたより暗めに見えることがあります。大きいサイズで見られる分そのギャップはそれほど大きくはありませんが、立体になって陰影が出ることによって、想定より地味めな感じに映る場合があります。
そのため、できればこちらの写真のように、肩から生地を乗っけて、ジャケットの雰囲気になるべく近い確認をすることをおすすめします。

逆に言うと、これができるので大きい生地見本は強い。上に紹介したSADAや、グローバルスタイル、花菱などは一着丸ごとのサイズが置いてありイメージがしやすいですね。

自然光で確認する
店内で見ていた生地見本と完成品の雰囲気が違って見える場合、自然光と店内の光の違いが影響していることがあります。
一見、外の明るさと同じくらいに見える店内でも、窓際で見てみるとけっこう印象が違って見えることがしばしばあります。
外まで持ち出すことはできないにしても、基本的に窓際に持っていくくらいは許してくれます(むしろ親切な店員さんなら推奨してくれます)から、自然光での確認もできればしておきたいところです。
なお商業ビルの一角などで窓がないお店の場合、席だけではなく、少し離れたところに持ち出して眺めてみるのもよいと思います。つまりは違う光のもとで見てみて、たしかめてみることが大切ということです。
記事の品番から写真を探す
一番わかりやすいのは、完成品を確認することに他なりません。
ですからまずは店員さんに「この生地で仕立てた完成品はありませんか」と尋ねてみるべきです。人気記事ならスタッフさんが仕立てているかもしれませんし、その写真をお持ちの可能性もあります。あるいは、「同じものはないんですけど、色違いなら」「近い色はこれです」などと、なるべくイメージが沸きやすいように参考商品を見せてくれるはずです。
しかし近しい実物や写真が見られないこともあります。
そういう場合、生地の品番を検索してネット上の写真を探してみるというのも一つの手です。
お店側の管理用に、必ず生地には品番が記されています。お店用の管理番号でしかないこともあれば、生地自体の品番(=他店でも使われている番号)であることもあります。いずれにしても、膨大な情報に溢れるネットの世界ですから、同じオーダースーツ店の別店舗だったり、あるいはまったく関係ないスーツ店の情報だったり、何かしらヒットすることもけっこうあるものです。
お店の生地は、スタッフさんに断りを入れれば基本的に「撮影OK」と言ってくれます。お店にいる間に決めきらないといけないものではありませんから、気になる生地は写真を撮っておいて、できる限り調べてから購入するのも一つの手かと思います。
難しければ一着丸ごとサイズのお店に行ってみよう
ここまで、小さい生地見本から完成品をイメージするコツについてお伝えしてきました。上記を意識すれば、それほど大きくイメージがずれることはないでしょう。
とはいえ心配な方や、なるべくイメージを厳密にしておきたいという方は、やはり大きいサイズで見られるお店に行くのが手っ取り早いことに変わりはありません。上記で紹介したSADAなど、1着丸ごとサイズで見られるお店で選ぶようにするのももちろん良い手段かと思います。
