オーダースーツをネットで安く作れることをうたい文句としている「Suit Ya」なるスーツ屋。広告などを見て気になっているという方も多いのではないでしょうか。
評判や口コミ記事などを見てみると褒めたたえる記事ばかりが目立ちますが、実際にオーダーしてみると、良いところと悪いところの両面が見えてきました。
本稿では、これまでに10着以上のオーダースーツを仕立ててきた経験も踏まえながら、Suit Yaで作ってみたスーツの率直な感想と、他店と比較したコスパなどについて検証していきます。
生地によっては良コスパ

まずは生地や価格など、スペック面を検証します。
HPで選べる生地などを眺めてみると、「たしかにコスパは良いけど、生地による」というのが率直な印象です。
実際の生地選択画面には、ベーシックで使いやすそうな生地が並んでいます。

そして、宣伝されているような「税込み29,800円」という最安価格の生地は、ウール50%とポリエステル50%の混紡か、ポリエステル100%の生地の2択です。
前者(ウール&ポリエステルの生地)は非常にコスパが良いですね。他の格安オーダースーツ店であるユニバーサルランゲージやグローバルスタイルなどで展開されている「2着セットで5万円」の場合も、だいたい選べるのはポリエステルを50%程度含む生地です。ですからSuit Yaのコスパは、決して見劣りしないどころか、1着単体でも2万円台で購入できるという意味では競合店よりも強みがあるといえるでしょうか。というか、これは業界でも最安水準といって問題ないレベルかと思います。
一方後者(ポリエステル100%の生地)は、いくらぱっと見の柄が良かったとしても、さすがに選ぶべきではないでしょう。これではもはやイオンなどで売っているような激安スーツと同じ素材。テカりもでやすいでしょう。宣伝文句である「29,800円」で選べる生地を増やすための“落とし穴”的商品だと思った方がよいかもしれません(笑)。
ちなみにSuit Ya、この最低価格帯の商品の大部分も含め、どれも「35%オフ」「44%オフ」などとお得感を演出しているところには、個人的に若干のいやらしさを感じてしまいます(笑)。実際、29,800円の最低価格帯の商品も、「44%オフ」などの表示込みでその価格になっている生地がほとんどのようです(26年2月時点)。まあ、どこのお店も似たり寄ったりのことをやってはいるんですけどね……。

特にお得感のある生地とは
と、ここまで「生地によってはお得」というお話をしてきましたが、特に「これは!」と思える商品もありました。
高コスパのイタリア製生地ブランドとして知られるカノニコやレダの生地は、「35%オフ」などの割引込みで、5万円台後半くらいの価格でオーダーできる(価格は変動することをご了承ください)ようになっているので、今の時代にこれはかなりお得だといえるのではないでしょうか。
カノニコ・レダなら、大手どころのユニバーサルランゲージやグローバルスタイルなどでも、2着セット購入を前提として、だいたい1着あたり6万円~といった価格帯になるでしょう(もちろん1着だけならもっと高い)から、Suit Yaは1着だけでこの価格で買えるとなると、かなり安いといえると思います。
また、カノニコ・レダ以外でも、ロロピアーナやドラゴ、ピアチェンツァなどのインポートものは、上記と同様にかなり安いようなので、コスパだけを重視するなら、このようなインポートもの定番ブランドの方がお得感は強まるかと思われます。オーダー初心者の方なら最安ラインから、ある程度慣れている方ならこれらインポートものから選ぶという考え方もアリかなと思いました。※詳細は以下の公式サイトよりご確認を。
作ってみたオーダースーツの詳細
前置きが長くなりましたが、実際に私が作ってみたスーツについて、詳しく見ていきましょう。
上でも少し紹介した通り、グレーにうっすらとチェックが入ったウール&ポリエステルの混紡生地(品番:TK2125CMS)を選びました。
※ワイシャツはSOLVEでネットオーダーしたタブカラーシャツです(詳細はこちらの記事に)。



自己採寸で本当にうまくいくのか、と半信半疑でありましたが、動画付きの案内に従いながら測ってみたら、1回でうまくいきました(笑)。シャープな形になっているので、明るめなグレーですが野暮ったくならずにかっこよく収まっているかと思います。
購入価格について
有料のオプションは一切入れず、また会員登録時に1000円クーポンがもらえるのでそれを使って、税込み28,700円で仕立てることができました。わざわざ2着買うことなく、1着単体を2万円台で購入できてこの仕上がりですから、さすがにコスパは良いといわざるをえないところがありますね。
採寸の課題と納期について
なお私の場合は1回でうまくいきましたが、ネット店だけあって無料のお直しによる「ジャストサイズ保証」をうたっているので、採寸に不安がある方も安心して注文はできるかと思います。ただ上記の通り、お直しをする場合はその分のロスタイムは発生してしまいますけどね。私の場合は注文してから1か月かからずに商品が到着したので、それを目安にしていただければと思います。
あるいは手持ちのスーツを送ってそこから調整することもできるので、一度他店でオーダーしたものがあると便利ですね。
一応、同社で用意されている採寸方法を羅列しておくと、以下の4通りです(公式サイトより引用)。
自己オート採寸
希望のスタイルと身長と体重を入力することで、あなたの体サイズの指針を示します。その指針を参考に、自己採寸をして、サイズを登録することができます。
採寸代行
お手持ちのお気に入りのスーツやシャツを郵送してください。当店で採寸を致します。
既製サイズから選ぶ
いつも購入している既製サイズから、簡単に注文できます。(サイズ変更可能です)
他社オーダーから採寸
他社でオーダーしたサイズをご入力ください。当店でサイズ調整しサイズを登録致します。
ちなみに、「それでも採寸に不安がある」という場合、“実店舗あり&採寸結果を自分でも確認できる&店舗でオーダーしなくていい(後でスマホで注文)”という条件を満たすファブリックトウキョウなどのお店で採寸をしてもらい、それを参考値にするという裏ワザもあります。
ファブリックトウキョウ公式で最寄り店舗・ネット予約方法を確認する
ファブリックトウキョウについては以下の記事も参考にしてみてください。
Suit Yaの悪いところ
ここまで、良いところの紹介が目立ちましたが、逆にデメリットと思われる点についても触れておきましょう。
「ネットで完結」は本当にメリット?

まず、「ネットで簡単オーダーメイド!」とうたっている点について。
これは私に限った話なのかもしれませんが、せっかく高いお金を払ってスーツをオーダーするからには、毎回きちんと採寸をして丁寧に作りたい気持ちがあります。
それを、「ネットで完結してラクラク~」などといわれても、特段メリットとは感じられないという話です。
それに、「自分でもちゃんと採寸できる仕組みがある」とはうたわれていますが、ふつうのオーダースーツ店におきかえれば、未経験で研修も受けたことのない店員さんが、マニュアル通りの採寸を行っている感じじゃないでしょうか。まあ、昨今の低価格オーダースーツ店は誰が採寸しても失敗しないような採寸システムを敷いている(詳細はこちらの記事で解説)ので、そういう意味ではSuit Yaも競合店とそう変わらないレベルの採寸ができるともいえるわけですが、高級店のようなプロの採寸による微調整ができないことは、予め認識しておくべきでしょう。
またSuit Yaは無料でお直しができるので「サイズが合っていなかった!」ということは起こらない仕組みにはなっていますが、お直しのための追加時間がかかってしまうのも、やはりネックだと感じてしまいますかね。
そう考えるとネットで完結するという点は、私にとってはメリットとは感じられないのです。ただ逆に言うと、店舗やスタッフにかかる費用がかからない分だけ商品の安さにつながっているのなら、サイズの不安さえ払拭できれば、人によってはポジティブにとらえられることなのかなとは思いました。実際、案内に従って採寸した私の場合も、しっかりフィットしたスーツができたわけですので。
包装はもっと配慮して…
商品は箱に入って送られてくるのですが、このような形で畳まれたスーツがむき出しのまま入っている形になるので、ちょっと雑な印象は受けてしまいました。

せっかくの高い買い物ですし、オーダーした商品との初対面がこれだと嬉しさも減ってしまうので、この点はもうちょっと工夫してほしいなとは思いました。
「追加費用なし」の謎
公式の案内によれば、「通常であればオプションとして追加料金がかかる仕様を『標準仕様』によって、無料でご提供しております」とありますが、正直これは真に受けてしまっていいのかという点は、ちょっと疑問です。
たしかに、オプションとして必要度が比較的高い「本切羽」が標準で入っているのは、非常に良いと思います。

ただ、この標準仕様に、「AMFステッチ」や「水牛ボタン」などは含まれていません。さらに、「キュプラ裏地」については無料・有料問わずそもそも選択肢として用意されていません。
こうなると、「追加費用なし」といって、まるであらゆるオプションが無料でついてくるような印象を持ってしまうと、ちょっと肩透かしを食らうかもしれません。
まあキュプラ裏地がない点については、私が作った最安の生地や、カノニコ・レダなどの中堅ブランドくらいの生地なら、こだわる人でない限りはそこまで気にするほどのことではないかもしれません。ただ、インポートものの生地でせっかく作るなら、AMFステッチ(2500円)や水牛ボタン(+2000円)などの有料オプションは、見た目にも影響してくるので、できれば入れたいところですね。
結論
ということで、Suit Yaに対して抱いていた違和感を、実際に作ってたしかめてみました。結論としては、
・1着単体で2万円台で作れるのは業界最安水準
・自己採寸でもうまくいった。お直しもできるので安心ではあるし、“裏ワザ”もある
・カノニコ・レダあたりの中堅ランクのブランドものが一番コスパが良さそう
といったところでしょうか。お手頃価格でオーダースーツがほしいという方は、以下の公式サイトから生地などをご覧になってみてください。