「1着3万円台~」「ネット通販で安く買える」などと、最近何かとよく見かけるオーダースーツ屋、ファブリックトウキョウ。「オーダースーツ」というワードで検索したことのある人なら、誰しもネット広告や、関連する記事を見かけたことがあるでしょう。
しかし同社のオーダースーツって、本当にそんなにコスパが良いものなのでしょうか。
実際は、むしろやや高い部類に入るのでは…と思う一方、なかなか悪い評判どころか、部分的なデメリットを指摘する声さえも見受けられない現状があります。
そこで今回は、これまで10着以上の低価格オーダースーツを仕立ててきた私の経験も踏まえながら、ファブリックトウキョウのコスパについて検証していきます。
※同社のオーダーシャツについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
ファブリックトウキョウ、高いのでは…?

ネット上での評判がやたらと良いファブリックトウキョウ。
昨今はYouTuberとのコラボに力を入れているのか、複数の著名チャンネルで「ファブリックトウキョウでオーダーしてみた」という動画が投稿されていて、それぞれで良い評価を受けているのが印象的です。
その中でも気になるのが、ファブリックトウキョウがYouTube上で取り上げられるようになった“火付け役”ともいえる、某有名ファッション系チャンネルとの数年前のコラボ動画です。もう4、5年前くらいになるでしょうか。実際の店舗で社長にも登場してもらい、「オーダースーツが3万8000円で買えるなんて!」などと“破格”であるかのようにベタ褒めしていましたが、ちょっと素直には受け取れないところがあります……(※その後何度か値上がりしたものの、26年2月より3万8000円~という価格設定に戻りました(詳細後述))。
というのも、これだけファッションに詳しい方が、金額だけ見ればもっと安いオーダースーツがあることを知らないはずはないのに、まるで3万8000円が“オーダースーツ界のびっくり価格”かのように安さを強調するのは、少々違和感があるわけです。「ファブリックトウキョウはイージーオーダーを採用していて、パターンオーダーよりもワンランク上。それをこの価格で展開しているのは安い!」などという説明があればまだ理解はできるんですけどね。
他社に比べて割高感あり?
そんな“ぼやき”は置いておいて、実際の商品のコスパについて、検証していきましょう。
3万円台の最低価格帯の商品の場合、選べる生地はウール100%ではなく、ポリエステルを含みます。イージーオーダー(パターンオーダーよりもワンランク上とされる)のお店なら、相場価格といったところでしょうか。むしろ3万円台でイージーオーダーで仕立てられるのは安いといえます。
ただし、ウール100%の記事で仕立てようとすると6.9万円かかってくるので、この場合はイージーオーダーだとしても、やや高めかなという印象はあります。
たとえばイージーオーダーの中でも本格派寄りな花菱の場合、4万6000円~という価格設定ではありますが、5万円台からウール100%の生地が選択できるので、よりクラシカルで本格的なオーダースーツをお求めの場合、花菱を選んだ方がよいかもしれません。

一方、価格改定後の3.8万円の生地の場合は、かなり割安感があるといえそうです。この最安生地でオーダーしてみたところ、イージーオーダーの良さに加え、型紙がモダンで、また生地のレベルがかなり高いと感じられました。詳細は以下の関連記事をご覧ください(※26年4月追記)。

製造拠点は国内・国外を使い分けてる?
同社が国内外に複数の製造拠点を確保していること、あるいはオーダーシャツの製造拠点や、同社のオーダースーツ上位モデル「AUTHENTIC」をはじめとした高価格帯の製造拠点が国内にあることはなんとかわかったのですが、例えば一般モデル(最低価格帯4万円程度のスーツなど)が国内・国外どこでつくられているのかは、情報が出ていません(2025年8月時点)。
一般的に、きちんと国内縫製を行っている場合はその旨をアピールするお店がほとんどなので、おそらく、上
位モデルは国内で、それ以外は中国などの海外工場で縫製をしているのだと思われます。別に海外の縫製だから悪いという話ではないのですが、たとえば、最低価格帯が近い麻布テーラーや花菱などは、もう少し安くウール100%のスーツがイージーオーダーで仕立てられる上、縫製は国内の工場で行っていますから、ウール100%&国内縫製にこだわりたい場合、こちらの方がお得感はあるかなという印象です。
ネットオーダーは本当にメリットなのか
ファブリックトウキョウの中で、実店舗が担うのは採寸や生地等の紹介の役割でしかなく、購入自体はネット上で行うことがメリットとされています。「一度採寸してしまえば、同サイズで自宅でまた頼める」という便利さを売りにしているわけですね。
しかし私は、特段メリットとは感じられませんでした。
私のような庶民からすると、1着数万円もするようなスーツをわざわざオーダーメイドで仕立てる機会なんて、そんなに頻繁にあることではありません。それだけ数少ないオーダーの機会であれば、きちんと採寸し直したり、細かい仕様を店員さんと相談したりしたいものです。そういう高い買い物を、「前と同じで頼めてラクラク~」などとネットで気軽に頼むなんてことはしたくないなと、個人的には思います。これがワイシャツのような消耗品であれば話は別だと思うんですけどね。
とはいえまた店舗に訪れてじっくり採寸するとなると、けっこうな時間がかかってしまうのもまた事実。細かい微調整などにこだわらない方にとっては、メリットなのかもしれません。


「悪い評判」がない不思議
というわけで、人気のオーダースーツ店であるファブリックトウキョウは、きちんと他店と比較しながらコスパを検証すると、「ウール100%で仕立てるならやや高め、3万円台の低価格帯はお得」というのが私の感想です。
結局のところ、良い面ももちろんたくさんあるファブリックトウキョウですが、「悪い評判」にも目を向けながら決断していただけたらという次第です。
※その後(25年秋、26年春)、同社のオーダースーツの品質を確かめるべく実際に仕立ててみたので、よかったら以下の記事も参考にしてみてください。

※他の低価格オーダースーツについて検証した記事については、以下を参考にしてみてください。