【図解】スーツ好きによる生地格付け&ランキング 49ブランドを英·伊·日ごとに一挙紹介!

オーダースーツに興味を持ち始めると、イタリアや英国を中心に、様々な生地ブランドがあることに気づいてくるもの。お店に行くたびに新しいブランドを知り、私自身が勉強している毎日です。

そこで本稿では、オーダースーツの初心者~中級者向けに、イタリア、英国、国内の生地ブランドについて、一般的な流通価格などを参考にしながら、おおまかなランク付けをしてみました!

もちろん、同じブランドでも、生地の種類によって価格帯は大きく変わりますし、何を基準にするかによってブランドの序列も変わってきます。その意味で、スーツに詳しい方からするとツッコミどころもあるかと思いますが、ここではブランドに詳しくない方がイメージするにあたっての参考情報ということで、どうかご容赦いただけますと幸いです。

図表の下には、各ブランドの簡単な紹介も記載しているので、参考にしてみてください。

目次

スーツ生地格付け&ランキング

では早速、「格付け表」をご覧ください(※スマホの場合、横向きか拡大表示を推奨

  • 本表は国内流通価格や取扱実績、市場での一般的評価などをもとに、私の主観によって、初心者~中級者向けに可視化したものです。当然、ゼニアやロロ・ピアーナの中に比較的低価格な生地もあれば、逆に下部に記載しているブランドでもハイグレードな生地もあります。
  • ウール以外でそのブランドの代名詞といえる素材が明確にある場合、素材バッジを付しています(例:スペンス・ブライソン=リネン、ハリスツイード=ツイードなど)。
  • フレスコは1907年にマーチンソンが開発、商標を保有していて、現在は同社を傘下に抱えるJ.&J. Minnis(Hardy Minnis)も展開しています。これら以外は「ポーラ」という名称が使われるのが一般的。硬くサラッとした肌触りで、通気性が高いのが特徴です。
  • ドーメルは、「Tonik」に限ってモヘヤの代表生地と称されるも、ブランド全体としてはウールをはじめ多用な素材の生地を展開しています。
  • 下部に位置しているからといって、品質が悪いなんてことは全くありません。国産のノーブランド生地も高品質なものは多く、むしろコスパという意味では非常に良い生地がたくさんあります。
  • 国産ブランドは数が少ないので、主要生地で序列を別表記にしました。

今回対象としたのは、パターンオーダーやイージーオーダーのスーツ店によく流通していると思われる以下の全49ブランド。

英国生地

  1. ドーメル (DORMEUIL)
  2. スキャバル (SCABAL)
  3. フォックスブラザーズ(FOX BROTHERS)
  4. テーラー&ロッジ(TAYLOR & LODGE)
  5. ホーランド&シェリー (Holland & Sherry)
  6. ハリソンズ・オブ・エジンバラ (Harrisons of Edinburgh)
  7. ウィリアム・ハルステッド(WILLIAM HALSTEAD)
  8. スペンス・ブライソン(SPENCE BRYSON)
  9. J.&J. ミニス (J.&J. Minnis/HARDY MINNIS)
  10. ダグデイル・ブラザーズ (Dugdale Brothers)
  11. マーリング&エヴァンス (Marling & Evans)
  12. サヴィル・クリフォード (Savile Clifford)
  13. ハリスツイード(HARRIS TWEED)
  14. アブラハム・ムーン (Abraham Moon & Sons)
  15. ブリスベン・モス (Brisbane Moss)
  16. マーティンソンズ (Martin Sons)
  17. ラッシャーミルズ(LASSIERE MILLS)
  18. カイノック (Kynoch)
  19. ウェイン・シール (Wain Shiell)
  20. ジョン・フォスター (John Foster)
  21. ウッドヘッド (Woodhead)

イタリア生地

  1. エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)
  2. ロロ・ピアーナ (Loro Piana)
  3. ピアチェンツァ(Piacenza)
  4. タリア・ディ・デルフィノ (Tallia di Delfino)
  5. カルロ・バルベラ (Carlo Barbera)
  6. ドラッパーズ(DRAPERS)
  7. カチョッポリ (Caccioppoli)
  8. E. トーマス (E. Thomas)
  9. ルイージ・コロンボ(LUIGI COLOMBO)
  10. アリストン(ARISTON)
  11. ドラゴ(DRAGO)
  12. グアベロ(GUABELLO)
  13. ソルビアッティ(SOLBIATI)
  14. ヴィターレ・バルベリス・カノニコ (Vitale Barberis Canonico)
  15. トラバルド・トーニャ (Trabaldo Togna)
  16. フェルラ (Ferla)
  17. ビエレッシ (Biellesi)
  18. レダ(REDA)
  19. トレーニョ (Tollegno 1900)
  20. チェルッティ (Lanificio F.lli Cerruti)
  21. ディ・プレイ (Di Pray)
  22. アンジェリコ (Angelico)
  23. マルゾット (Marzotto)
  24. マルラーネ (Marlane)

国産生地

  1. 御幸毛織
  2. 葛利毛織
  3. 国島
  4. 国産ノーブランド生地

繰り返しますが、あくまでも素人である私の主観を多分に含むものですので、参考程度にお納めください。とはいえ、「上の方にあるのに本当は下の方だろう」というほどの大きなズレはないはずです。

これらの生地でコスパ良くオーダースーツを作るには、各価格帯ごとのコスパ店を検証した以下の記事も参考にしてみてください。

主要ブランドの概要と代表生地

上記の中で、特に日本のオーダースーツ店でよく流通している主要ブランドにしぼって、概要と代表生地をご紹介します。

英国生地

ドーメル (Dormeuil)

概要

1842年創業の仏系マーチャント。本社はパリですが、紳士服地は伝統的に英国内の名門ミルで製織。英国の骨太さとフランス的な艶感を併せ持ち、ビスポーク〜メゾンまで採用実績が幅広い総合ブランドです。

代表生地(例)
  • Amadeus(アマデウス) /Amadeus365(アマデウス365):秋冬~通年向けの定番ライン。
  • EXEL / EXEL NANO(エクセル):ピュアウールのストレッチ系。
  • Tonik Wool / Tonik 2000(トニック):モヘア系の名作リバイバル。

スキャバル (SCABAL)

概要

1938年創業。ベルギー系マーチャントで、製織は英国中心。ラインナップが非常に広く、伝統的な英国梳毛〜高番手のラグジュアリー、個性派のコレクションまで“選ぶ楽しさ”が魅力。

代表生地(例)
  • ザ・ロイヤル / The Royal:Super100’の定番シリーズ。
  • Londoner(ロンドナー):S140’sの艶とドレープ。
  • Galaxy(ギャラクシー):色柄が豊富な王道コレクション。
  • Image(イマージュ):実用寄りの春夏系スーティング。

フォックスブラザーズ (FOX BROTHERS)

概要

1772年創業。フランネルの代名詞的存在。重たすぎない柔らかな起毛感と上質なメランジ感で世界的評価が高く、秋冬に“雰囲気で差がつく”一本柱。

代表生地(例)
  • FOX CITY(フォックスシティ):ハイツイストの平織り系。
  • FOX AIR(フォックスエア):盛夏向けの強撚系。

スペンス・ブライソン (Spence Bryson)

概要

アイリッシュリネンの代名詞。発色・ハリ・経年の表情が抜群で、サマースーツやジャケット、トラウザーズまで夏の主役に。

代表生地(例)
  • LISMORE(リスモア)(軽め)/TYRON(タイロン)(重め):アイリッシュリネンの定番。

マーリング&エヴァンス (Marling & Evans)

概要

1782年創業。ナチュラルカラーやサスティナブル志向の梳毛・紡毛に強く、英国らしい素朴さと現代的センスの折衷が魅力。

代表生地(例)
  • Undyed British Wool(アンダイド):無染色の人気生地。

ハリスツイード (HARRIS TWEED)

概要

ツイードの代名詞的ブランド。スコットランド外ヘブリディーズ諸島の職人による手織りが売り。厳格な管理のもと“オーブ”マークが付与される伝統素材。

代表生地(例)
  • ハリスツイード各種(ジャケット/コート)

アブラハム・ムーン (Abraham Moon & Sons)

概要

1837年創業。染色〜紡績〜織りまで一貫生産の紡毛名門。チェック/ヘリンボーンの意匠性に優れ、ジャケット生地で人気。

ブリスベン・モス (Brisbane Moss)

概要

英国産コットン素材の代表格。コーデュロイやモールスキン、チノクロスで圧倒的知名度を誇り、パンツ地の“定番中の定番”。

マーティンソンズ (Martin Sons & Co.)

概要

“フレスコ”で知られる老舗。ドライタッチで通気性とシワ耐性に優れ、夏場のトラウザーズや出張用に最適。

代表生地(例)
  • フレスコ:言わずと知れた夏の代表生地。

ジョン・フォスター (John Foster)

概要

1819年創業。英国らしさを残しつつ軽快さを持つビジネススーツ定番。入門〜中級層で使いやすいコストパフォーマンスも魅力。

イタリア生地

エルメネジルド・ゼニア (Ermenegildo Zegna)

概要

1910年、トリヴェロ創業の言わずと知れたトップブランド。艶・手触り・発色の良さに加え、シリーズごとの機能性提案も豊富。

代表生地(例)
  • Trofeo(トロフェオ)/Electa(エレクタ):同社の王道生地。特にトロフェオの艶は唯一無二。
  • Traveller(トラベラー):耐シワ・耐久志向。
  • Cool Effect(クールエフェクト):盛夏向け機能系。

ロロ・ピアーナ (Loro Piana)

概要

1924年創業、ゼニアに並ぶ世界的ブランド。カシミヤ/ビキューナなども含め、高級獣毛で世界的地位。“しなやかさと艶”のバランスが秀逸。

代表生地(例)
  • Four Seasons(フォーシーズンズ)/Tasmanian(タスマニアン):通年/軽快高番手の二枚看板。
  • Zelander Dream(ジランダードリーム):春夏の強撚・軽量系。
  • オーストラリス(AUSTRALIS):スーパー130の美しい艶感の定番生地。

ピアチェンツァ (Piacenza)

概要

1733年創業の名門。カシミヤで名高く、梳毛も上品な艶と軽さ。高級獣毛ミックスのドレッシーなジャケット地も人気。

代表生地(例)
  • カシミヤ/ウール&カシミヤ、ライトフランネル他

フラテッリ・タリア・ディ・デルフィノ (Tallia di Delfino)

概要

1903年創業。ゼニア/ロロピアーナと並ぶ“伊・三大ミル”の一角。艶と発色の良さ、ドレープの美しさでドレッシー需要に強い。

代表生地(例)
  • Napoli(ナポリ):軽量な平織り、スーパー130ウールを使用したビジネス向け定番シリーズ。
  • ラーナ&セータ(Lana & Seta):シルク混のツヤ感が特長。

カルロ・バルベラ (Carlo Barbera)

概要

高番手梳毛の雄。密度と膨らみ感のある“気品の艶”で通好み。現在はゼニア傘下でクオリティ管理も安定。

代表生地(例)
  • La Luce(ラ・ルーチェ):Super140’s中心の看板バンチ。国内店の入荷・価格実例が多数。
  • Cream Flannel(クリームフランネル):起毛の定番名。各店ブログでシリーズ名として繰り返し言及。

ドラゴ (DRAGO)

概要

糸から一貫の実力派。ハイツイストや“軽く伸びる”実用ラインで人気。トレンド感と耐久性のバランスが良い。

代表生地(例)
  • SWING(スウィング)/VANTAGE(ヴァンテージ):機能・実用系の定番ライン。
  • SKYFALL(スカイフォール):Super180’s原毛でヘビーウェイトに織るラグジュアリー系。

ヴィターレ・バルべリス・カノニコ (Vitale Barberis Canonico)

概要

1663年創業の大黒柱。選びやすい目付と色柄の“王道イタリアン”。初めてのオーダーにも安心のクオリティとコスパ。

代表生地(例)
  • Perennial(ペレニアル)/Revenge(リベンジ):王道ライン。
  • Supersonic(スーパソニック):防シワ・ストレッチ系ながらラグジュアリー感も。

レダ (REDA)

概要

1865年創業。カノニコと並んで”2大コスパ生地”と称される。コストと質感のバランスがよく、日常使いで頼れるラインが豊富。トレンド配色も得意。

代表生地(例)
  • MAIOR(マイオール)/FLEXO(フレクソ):高番手の高級ラインでありながらナチュラルストレッチ系。
  • ACTIVE(アクティブ)/ICESENSE(アイスセンス):機能系レンジ。

国産生地

御幸毛織

概要

日本を代表する総合毛織メーカー。ビジネス用途に最適な安定品質から高付加価値ラインまで幅広く、国内の気候・実用に即したコレクションが強み。

代表生地(例)
  • NAPOLENA(ナポレナ):フラッグシップ梳毛。
  • SHALICK(シャリック):盛夏向けロングセラー。
  • ACTIVA(アクティバ):ストレッチ/耐シワ系。

葛利毛織

概要

旧式織機を駆使した表情豊かな質感で知られる老舗。ドライタッチの強撚ウールや清涼感のある春夏素材など、クラフト感ある“良い顔”が持ち味。

代表生地(例)
  • DOMINX Standard Collection:DOMINXの基本バンチ。

ここまでお読みいただき、世界の生地ブランドの位置づけが大まかに把握できたのではないでしょうか。スーツを購入する際の参考にしてみてください!

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