テーラーフクオカとゼルビーノの違いとは…両方でオーダーしてわかったこと

同じ法人が展開しているオーダースーツブランドである「テーラーフクオカ」と「ゼルビーノ」。

それぞれの違いはどこにあるのか、両方でオーダースーツを作ってみた経験のある立場から、お伝えしていきたいと思います。

目次

テーラーフクオカとゼルビーノの違い

それぞれの概要と方向性

テーラーフクオカの店舗イメージ ※公式サイト(https://www.tailor-fukuoka.com/company/#shop)より

テーラーフクオカとゼルビーノは、どちらも同じ法人が運営するオーダースーツ店ですが、コンセプトに違いがあります。

まずテーラーフクオカは、伝統的なスーツスタイルを重視し、ビジネスシーンに適した「正統派」のスーツを提供するブランドといえます。

良い意味で流行にとらわれず、シンプルで品のあるスーツ作りに強みがあるといったところでしょうか。東京都内で、新宿、銀座、青山、吉祥寺の4店舗を構えています。

一方でゼルビーノは、テーラーフクオカよりも“おしゃれ” “遊び心”を重視したブランドといえるかと思います。もちろんベーシックなスタイルも大切にしつつではありますが、トレンドや個性的なディテールなども同じくらい大切にしている印象があります。ゼルビーノの店舗も東京を中心に展開されていて、新宿、銀座、虎ノ門の3店舗があります。

両者ともイージーオーダーを採用しているので、ユニバーサルランゲージやグローバルスタイルなどの「パターンオーダー」のお店よりも調整が細かくできる、“ワンランク上”のオーダースーツ店と言っていいでしょう。基本的な型紙がしっかりしているので、仕立てのレベルから見ても、「高コスパオーダースーツ店」と分類されるかと。

ゼルビーノの店舗イメージ ※公式サイトより(https://www.zerbino.info/shop/ginza.php

価格とモデルで比較

生地のランクごとの価格イメージは両者ともほぼ同じで、だいたい4万円程度から、オーダーすることができます(値上がりによってゼルビーノは「5万円弱から」といった方が今は正確かもしれません。詳細は下記に)。

一方でスーツの仕立てのグレードによって価格の違いが生じるようになっていて、ざっくり述べると、テーラーフクオカには標準モデルの「スタンダードライン」と上位モデルの「プレステージライン」ゼルビーノには標準モデルの「カスタムライン」と上位モデルの「ラグジュアリーライン」というものがあります。

生地価格の目安

シーズンごとにバイヤーが一気に生地を買い付けているやり方をとっているので、「このブランドがこの値段で!?」というのが生地が多いのが両者の特徴といえます。

その前提で、あくまでも参考程度のイメージとして、下記を参考にしてみてください。両者の標準モデル(テーラーフクオカなら「スタンダードライン」、ゼルビーノなら「カスタムライン」)でオーダーできるイメージ価格です。

生地ランク価格帯(税抜)代表的な生地ブランド(例)
最低価格帯4万~6万円程度ポリ混、国産ウール、一部インポートも
中堅価格帯6万~8万円程度レダ、チェルッティ、カノニコなど
高価格帯8万円~12万円程度ドーメル、ゼニア、ロロピアーナなど
プレミアム帯12万円~トップブランドのプレミアム生地

ぱっと見でかなりお手頃感はあるのではないでしょうか。もちろん、この範囲に収まらない生地もたくさんありますから、掘り出し物を探してみる感覚で店舗を覗いてみると良いでしょう。

テーラーフクオカの価格とモデル

テーラーフクオカでは、スーツの仕立てに関して「スタンダードライン」と「プレステージライン」の2つのグレードを用意しています。ざっくり述べると、それぞれの特徴と価格帯は以下の通りです。

ライン名価格帯(税抜)特徴
スタンダードライン
※この中で、クラシコ、ネオ、スリ
 ムの主に3種類があります。
¥39,000+tax (¥42,900) ~標準ラインでありながら、国内縫製で作りもしっかりしていて、コストパフォーマンスが高い。
プレステージライン
※この中で、オーセン、ボウ、チャ
 ールズの主に3種類があります。
¥59,000+tax (¥64,900)~ ハンドメイドの工程が増え、より立体的な仕上がり。毛芯の仕様や細部の縫製がグレードアップ。

つまりは上位ラインにするには+2万円かかるということですね。プレステージラインでオーダーしたことのある私としては、この「+2万円」は十分に払う価値のあるものだと感じました。プレステージラインにすると有料オプションもいくつか標準登載されるので、かなりコスパは良いと思います。

詳しくは公式サイトの表記を確認してください。

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ゼルビーノの価格とモデル

ゼルビーノでは、「カスタムライン」と「ラグジュアリーライン」の2つの仕立てグレードを展開しています。

ライン名価格帯(税抜)特徴
カスタムライン¥43,000+tax (¥47,300) ~標準ラインながら一枚襟採用で、肩周りとシルエットにこだわりあり。
ラグジュアリーライン¥94,000+tax (¥103,400) ~本来の売りはこちららしい。ハンドメイド工程が大幅に増え、着心地、見た目の美しさは格段にアップ。

+2万円でグレードアップができたテーラーフクオカと違い、こちらはラグジュアリーラインへ格上げする場合は+5万円くらいかかります。

この価格差が気になる上、正直、カスタムラインでも十分なクオリティなので、私は恥ずかしながらラグジュアリーラインでつくったことはありません……。とはいえラグジュアリーラインを試着してみるとたしかに着心地はびっくりするくらいのレベルではあり(これが「首周りへの吸いつき」というやつか!という感想)、写真を見ても見た目も美しいです。高級生地でつくるなら、きっとラグジュアリーラインの方がいいのでしょうね。

詳しくは公式サイトでご確認を。

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オーダーしてみた感想

では実際に両者でオーダーしてみた感想です。詳しくは下記のレビュー記事をご覧いただけたらと思いますが、私の現在の結論としては以下の通り。

・低価格帯、中価格帯の生地であれば、ゼルビーノのカスタムラインで仕立てるのが最強。正直カスタムラインでもクオリティは十分高く、キュプラ裏地などのオプションも標準登載されているので、そこらのオーダースーツ店より安く高品質なスーツがつくれる印象。ラグジュアリーラインにも憧れはあるものの、+5万円出してまではいいか……というのが私の現在地です。

・+2万円で上位ラインに切り替えられるコスパの良さから、高価格帯の生地でオーダーするならテーラーフクオカがベター。全モデルを一通りを試着してみたところ、プレステージラインの「オーセン」はかなり完成度が高く、誰が着ても様になる、(良い意味での)ベーシックさがある印象。

まあ、基本的にはどちらもしっかりとしたオーダースーツ店なので、好みで使い分けるのが良いのではないでしょうか。置いてある生地も違いますし、それぞれの型紙を試着してみると、どちらが自分に合っているかがつかめてくるかと思います。

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